電子ピアノを寄付

先輩から後輩へ⇔後輩から先輩へ プレゼントを交換

<贈呈式>

2017年12月20日、佐藤校長、野田副校長ほか立ち合いのもと、翠嵐会校歌祭実行委員会から翠嵐高校音楽部への電子ピアノの贈呈式を行いました。

江成翠嵐会会長、佐藤校長の挨拶に続き、校歌祭実行委員を代表して、生徒から見たら大先輩の高13回有賀伸興さんから、音楽部部長小泉瑠海さんに寄贈目録が渡されました。

この電子ピアノ(ヤマハARIUS)は本来移動を想定していないため、独自に工夫した可動式キャスターを取り付け、さらに躯体を頑丈に補強した高18回加藤英記さんが、実際にキャスターを折りたたんで見せながら説明すると、集まった約20名の音楽部生徒からは、「おおうっ!」と感嘆の声があがりました。

その後、音楽部部長からお礼の言葉があり、今度は音楽部員から先輩たちへ合唱のプレゼントです。真新しい電子ピアノの伴奏で、校歌合唱、そしてスキマスイッチの『全力少年』を熱唱してくれました。スキマスイッチを初めて聴いた「大先輩」たちでしたが、若々しい声で力強くリズミカルに歌いかけられる“積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って・・・”の歌詞に共感したのか、思わず目がしらを押さえる人が続出しました。

贈呈式は音楽部の生徒参加を大前提にしたため、平日に開催されました。そのため、翠嵐会、校歌祭実行委員会の面々は、休みを取ったり、開始時間に合わせて会社を早退するなど、それぞれ都合をつけての参加となりましたが、そんな苦労もすっかり忘れてしまうほど感動的な贈呈式となりました。

<電子ピアノ寄付の経緯>

電子ピアノ寄付は、校歌祭実行委員会の発案でした。例年、校歌祭の練習会には20代から80代までの幅広い年齢の卒業生と現役音楽部生徒が合同で参加しますが、その際には、普段音楽部が練習に使用している電子ピアノを借りて使わせてもらっていました。これがかなりの年代物で、譜面台が脱落しているため黒板消しで代用したり、弾いている最中にグラグラ揺れたりと、毎回伴奏者も、指導者も、参加者も、冷や冷やしながらの練習でした。しかも相当の重量があるため、練習会の度に保管場所から翠翔みらい館へ運ぶ音楽部の生徒たちの苦労は、大変なものでした。それを見かねた校歌祭実行委員の間で、「卒業生で新しい電子ピアノを買って、寄付しては?」との声があがり、練習会参加者に呼びかけたのです。さっそくカンパを募ると、114,517円もの寄付が集まり、そのお金で電子ピアノ、椅子、寄贈銘板、補強材全てを賄うことができました。電子ピアノに取り付けた寄贈銘板に刻んだ文言を、ご紹介します。


<裏話>

校歌祭実行委員会では「電子ピアノ選定委員会」を設置して、学校との調整、カンパの呼びかけから始めました。機種の選定に際しては、各社の電子ピアノの性能、価格、サイズ等をカタログやネットで調べた詳細な比較リストを作って検討し、指揮者の熊坂良雄さん、(高12回)、伴奏者依田慶子さん(高25回)の意見を伺いました。そのうえで、市内の楽器店、家電量販店を何軒も回って、各機種の音色や音量、鍵盤のタッチなどを実際に確認しました。校歌祭の練習会で使うには翠翔みらい館へ運ぶ必要があるため、重量が大事なポイントとなりましたが、すべての要求を満たす機種は少なく、選定は難航しました。機種決定後も、購入から寄贈銘板の発注、贈呈式の段取りまで、「電子ピアノ機種選定委員会」は、さまざまな場面で奔走することになりました。

中でも加藤英記(高18回)さんは、選定した電子ピアノの強度補強が必要と知って、横浜には現品を展示している店がなかったため、休日に秋葉原まで足を延ばして現品のサイズを詳細に測り、設計図を引き、贈呈式の前には工具・資材・部品を持ち込んでの組み立て作業と補強工事を実施。さらに実用新案並みのキャスター取り付けまでやってのけました。この加藤“棟梁”と、組み立て作業の際に大活躍してくれた平出水昭子“助手”(高33回)には、大いに感謝しなくてはなりません。

寄贈された電子ピアノその物だけでなく、こうした先輩たちの“心意気”をしっかり受け取った証が、後輩たちのあの素晴らしい歌声となったのではないでしょうか。
この、先輩から後輩へのプレゼントを、末永く役立ててもらいたいと思います。代わりにいただいた、後輩から先輩への心のこもった歌のプレゼントは、私たちにとって心温まる宝となりました。

校歌祭実行委員会 佐藤順子(高22回)